壁紙(クロス)のお役立ちブログ(業者向け)

内装 壁紙(クロス)についてお役に立ちそうな情報をお伝えします。

壁紙(クロス)のクレームについて

 

壁紙の種類と生産量

日本の壁紙の種類は、ビニル壁紙、プラスチック壁紙、紙系壁紙、繊維系壁紙、無機質系壁紙、その他に分類され、2019年実績で6億7千万㎡生産されています。ビニル壁紙はそのうち6億1千万㎡で約91%を占めています。

統計データ|一般社団法人 日本壁装協会

ちなみに、1996年には8億1千万㎡で、1986年は4億1千万㎡で10年間で壁紙は、2倍出荷されるようになりました。

日本で壁紙を生産している会社は、23社ほどあり、その会社で作られた壁紙をブランドメーカと言われている会社がサンプル帳をつくり販売しています。
サンゲツ、リリカラ、シンコール、トキワ、ルノン、東りなどが当たります。 

(*壁紙の普及の最も大きな要因は、1969年(昭和44年)に下地基材と組み合わせた状態で防火材料として建設省(現在の国土交通省)に認定されたことが大きいといわれてます。)

 

壁紙の良いところ

①豊富な商品群 和風、洋風、部屋別など幅広い要望に応えられる。
②広い価格帯
③塗装、塗り壁に比べて違い短い工期で施工ができる。
④簡単に模様替えができる
⑤工場で一貫してつくっているので安定した品質

模倣としての仕上げ効果
 天然素材よりも優れた物性で、それに近い色柄テクスチャーをもち、天然素材の持つ物性のばらつきもなく、均一になおかつ低価格で量産が出来き、天然素材に比べて施工が容易であります。

 

クレームについて

材料自体のクレーム

 ①壁紙の左右の色違い②左右の厚さ違い③同一ロットの色違い④傷⑤裏打ち不良⑥汚れ⑦プリント不良⑧エンボス不良⑨発泡不良

 これらが材料クレームとしてあります。最近は製造メーカーの努力でかなり、減っているのではないかと思います。

 材料クレームとしてならないケースとして、①②の左右の色違い、厚さ違いの中で、施工をする際、壁紙の有効巾を超えて施工した場合、また、ジョイントは、端と端で行う物ですが、端を使わず、中でジョイントすると①②のような現象が起きます。

 上記のような場合材料クレームとして扱えず施工クレームの扱いとなってしまいます。

施工によるクレーム

 ①糊に関すること

 1)希釈 糊はメーカー指定の量の水を入れて、攪拌して作るのですが、水を指定以上入れてしまい薄く作ってしまうと、糊の強度が生まれず、剥がれの原因になります。
最近無希釈の糊がありますので、これを使えば、希釈する手間や糊の濃さを気にしなくて済みます。

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 2)拭き忘れ 壁紙の表面にできるだけ糊がつかないように扱いますが、施工上どうしてもついてしまう場合があります。この場合は速やかにスポンジ、タオルを使って拭くようにします。放置しますとそこの部分が変色したりします。
 ローラー、撫で刷毛に糊がついた状態で使ったりすると、その糊が壁紙についてしまい同じように変色してしまいます。汚れたら拭くようにします。
 汚れたスポンジ、タオルをそのまま使うと同じようなことになります。

 ②下地に関すること

 1)石膏ボード 石膏ボードは、壁紙の下地としては最適なものです。石膏ボードの大きさは910mm×1820mmですので、必ず継ぎ目ができます。この継ぎ目にパテを入れ、継ぎ目が目立たないようにするわけですが、パテ処理のうまい、下手で壁紙の表面にパテ処理の跡が出てしまう場合があります。

 壁紙によっては目立たないものがあったり目立ちにくいものがあったりします。厚手で発泡加工等ボリューム感のあるものは比較的下地の凸凹を拾いずらいです。逆に厚さが薄く、光沢感のあるものは、目立ちやすいので、下地の平滑さに時間をかけ、より気を使わなければならない商品となります。
  2)ベニヤ ベニヤは木材をスライスした板に木目が直交するように奇数枚重ね、接着剤で貼り合わせたものです。その下地にそのまま壁紙を貼ると、ベニヤから灰汁(あく)が出てしまい、表面が変色してしまいます。ベニヤ下地には壁紙を貼る前に必ず専用のシーラーを塗らなくてはなりません。
 ベニヤを止めている釘の頭には、必ず錆止め剤を塗ってください。壁紙の表面にその錆が浮いてきます。
 (*シーラーの役割は表面に被膜をつくることで密着性を向上させたり、下地面の吸水性を調整したり、壁紙の劣化、変色をしにくくします。)

  3)モルタル モルタル下地の場合は十分乾燥していることが条件となります。乾燥が不十分だと壁紙がはがれてしまいます。
 モルタル面に水が溶けるとアルカリ性を示し、白く粉がふき、いわゆる灰汁が発生します。このアルカリが、糊を変質させ、剥がれや目隙が起きやすくします。ベニヤ下地と同じく必ずメーカー指定の要領を守ってシーラーを塗らなくてはなりません。

 

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 ③ジョイントに関すること

 A.突きつけ施工
  1)突きつけ施工の場合、糊付け機のスリッターで両耳を切り、端と端を付けるのですが重ならず、隙間が空かないようにジョイントしなければなりません。
 壁紙にはジョイント部分がどうしても目立つ材料があります。それは突きつけ施工には適さない材料といえます。
 うまく合わせようとして、ローラーを強く押しすぎて、壁紙がテカってしまい目立ってしまう場合があります。
 隙間が空いてしまったことに対して、ローラーで無理によせすぎ、壁紙を伸ばしてしまうと、時間とともにジョイントがすいてきてしまう事もあります。

 B.重ね裁ち
  1)重ね裁ち施工は、壁紙と壁紙を重ねてジョイント部分をカッターで切るんですが、下地までカッターが入ってしまうと石膏ボードの紙を切ってしまいそこからめくれて来てしまいジョイントがすいてきてしまいます。

 モルタル下地の場合であっても、シーラーで塗った被膜を、カッターが入りすぎて切ってしまうとジョイント部分が開いてきます。
 ジョイントを切る場合は専用のジョイント定規で切るようにし、下敷きテープを使うようにします。
 仮に下敷きテープを切ってしまった場合は、その箇所をめくって、補強テープ(和紙テープ)を中に入れることで、ジョイント部分が開かないようにすることが出来ます。  

  

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 c.その他
  1)熟(う)ませ時間(オープンタイム)
 壁紙は、水分を含ませることで伸びます。仮に元寸法が92cmの場合熟ませると
93cm前後になります。そして、乾燥させると91.8cmぐらいに縮みます。この特性をよく理解したうえで、ジョイントしてください。
 糊が薄かったりした場合収縮を押さえることが出来ず、ジョイントが開きます。
商品によって熟ませ時間を変えなければならないものがあります。
 汚れ防止機能の付いた壁紙は、熟ませ時間を長く取る必要があります。逆に和紙系の壁紙や吸湿性の優れた壁紙などは乾燥が早いため熟ませ時間は短くしないと施工できなくなってしまいます。    

施工後の環境によるもの

  ①施工後は糊が安定するまで自然乾燥をしてください。施工中・施工後とも冷暖房などによる急激な室温の変化は避けてください。ジョイント部分の目隙、剥がれの原因になります。
  ②家具を壁に密着させないでください。家具の塗料やベニヤの色素により変色することがあります。
  ③その他、ストーブを近づけない、粘着テープを貼らない、薬品や化粧品類を付着させない、などが原因で変色することがあります。

壁紙の限界

下地・構造上の限界
  ①壁面のクラック
  ②下地の乾燥不十分による壁紙の剥がれ
  ③コーナー部分の隙間  建物の構造上振動の逃げ場にしています。また、木材の乾燥による収縮によって隙間が生じます。

これらを壁紙でカバーするには限界があることはご理解ください。

まとめ

  日本において壁紙は、住宅はもちろんのこと公共建築物にも広く使われ、目にしないことはほとんどないと思います。商品として長い歴史の中で、ほぼ完成された形になっていると考えます。製造メーカーが苦心に苦心を重ね、ブランドメーカーとタックを組んでより良い商品を提供するようにしてきました。
 これら壁紙は職人の手を介して初めて価値を生むものとなります。使う側、施工する側、企画する側、製造する側が一体となって良いものという位置づけになります。壁紙の特性をよくご理解いただき気持ちよく使っていただきたいと思います。